なく一寸色が変って居ると目立つものだ。
[#ここで字下げ終わり]

 田舎に育った娘は、しずかなチラット白眼をつかってかんだぐるようなことが多く、都に育った娘は、人なつこい中にかならず幾分かのかざった、いつわったところが多いと思われる。

 仕事をしなくてはいけない、仕事をしない人間は生き甲斐のない人間だと云うこの言葉だけは知って居るけれ共、何故仕事をしなければならないか? と云う問題になるとはっきり分らないものだ。

 この頃は天才がふえた。ことに雑誌なんかの上で大人が一二度小才のきいた文章が出してあるとすぐ「前途多望の天才」とかなんとか云う尊称がたてまつられる。そんな人にかぎってその投書の一年とつづいた事がなく、その次からの文がきっと前よりも劣って居る。「天才のねうちが下ったナア」と思われる。

 何故昔は男でも色のはでな模様のある着物を一般の人が着て居たのに、この頃は男の着物と云えば黒っぽいもののようにきまってしまったんだろうか? どんな深いわけが有るんだろうかと思われる。

 私は何だかもうずっとたったら男のと女のすれ違う時が来るんじゃないかと思われる。何と云うわけなしにただ…
前へ 次へ
全85ページ中80ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング