のもとに組織されている革命的な階級的少年少女組織である。ピオニイルは共産青年同盟員によって指導されるのが通例であり、おそらく五十を越しているであろう腕の毛まで白い亀のチャーリーにその任務がはたせられていることはなかろうが、それは一応チャーリーの子供好きの特色、独特性によるものとして、どうも納得できないのは、亀のチャーリーがピオニイル養成という現実の仕事の理解に対して示している機械的な卑俗的な、安易さである。
 たとえば、メリイという女の子が夏場彼の店に出入りしてピオニイルになる過程を作者は手軽くこう書いている。メリイに本を読ますと円い青い目をクルクルさせて「正確な理解力」を示し、「十日ばかりチャーリーの店の手伝いをして」「やめる時にはもうピオニイルの組織に入ってい、弟や妹ばかりか父親や母親たちへまで宣伝するようになった。」あるいは失業者の息子が二人、店に掻払いにきたのに、亀のチャーリーがつかまえて説得して「本」をやると「二人はやがていいピオニイルに成長して、いつも二人で組になって活動した」と。
 あとからあとからそのようにしてつくられるピオニイルらは、どこへ組織的にはつけられるのか、ど
前へ 次へ
全32ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング