ジャーナリズムにおいてもてはやされているのに対して、われわれが一々それを作品によって覆《くつがえ》すような作品を書いていないという現象から、漠然たる圧力を感じる傾向があった。従前から、創作活動旺盛化の課題がわれらの前にあった折から、この気分は同盟内に新たな意識で創作活動と組織活動との統一の問題をまき起したのである。そして、この問題に対する同盟員の感情も微妙な複雑性を示した。
一方には、組織活動をしないでいいとは思わないが、今のままではやり切れない、何とかならないものか、という消極的な、他力本願的気分がある。一方には、現在の状勢でプロレタリア文学運動の確立のために組織活動なしでどうするものぞ、組織活動によってこそ、多数者獲得の課題に答え得るのだ、今書けないのは仕方がない、という左翼的日和見主義があり、他には、時間の問題とする部分もある。創作をする時間さえあればよいのだ、と。
プロレタリア文化運動で組織問題の重要性が理解され、それが実践にうつされたことは一九三一年度における基本的発展であった。更に、そのプロレタリア文学組織としての発展を、組織の特殊性によって具体化するために創作活動旺盛
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