おしゃれし 同性の 男性に対する同伴者となるようなもの
└ 津田敏子と娘のようなの 本当の母娘関係少し。
[#ここで字下げ終わり]

     京言葉

「なあ、へ ×はん」
「あんたはん、お見いしまへんのか」
「あほくさ!」
「けったいな人」
「知らん」
「おおきに」
「そうどすか」
「私《うち》、知らん」
「そらあてかて 知ったるさかい」
「知らん、云わはるやないか」
「どす がな」
「ふーむ、そか?」
「えげつない奴《やっ》ちゃな」
「とでも云えばええが」
「もっさりしとる」
「よう 肥えてやはりますな」

     胴間声

「今日《コンチ》は、御用はありませんか トウフヤが来ました、アウーイ エー アウーイ」

     外事掛

 太った男
 紺ベルトのついた外套
「あすこでは これやって居たんですよ」
 両手でピアノ弾くようにする タイプライターのことなり
「本の宣伝に来たとは思いませんが、得手が分らないんでね」

     三月十三日の雪

 もう芽ぐんだ桜の枝やザクロの枝を押しつけて、柔い雪が厚くつもった。
 床の間には桃が活けてある。
 竹をすべって雪の散る音を、お
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