クトリア時代の流行《マトロン》のキャップ
 ○老猫のような髭
 ○蒼っぽい目
 ○指環のくいこんだ、皺のある太い節の高い指
 ○エプロン
 ○いつも編物
  水色と藤紫の調和というこのみ。
 “I am quite all right, so far I keep still.”
 ○八十一

     ミス、バチェラー

 ○五十前後。
 ○やせた、鼻と顎がコーモリのように見える婦人、
 ○赤っぽい、波のない毛をかまわない結びようにして居る。毛糸あみの灰色の着物
 ○決して笑わず、形式的に一寸口をあける。
 ○永い会話を力のある声でせず、鼻声で不明瞭に一寸
「そう、私も出かけましょう」などという位。
 不幸な old maid の典型。

     八重の心持

 ○この人が来たので八重、家のことをちっとも仕ないでよいようになった。が、其は勿論よろこびではない。老人達が自分をたよりにしてくれないことの淋しさ。しかしいざとなれば、やっぱり彼等の世話をするのは、自分だという自信。
 ○健康になったので宗教の理解も明るくなり、決して人生を楽しむまいとするのが神の教ではない、と考えて来るよう
前へ 次へ
全35ページ中18ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング