にもカタツムリは這って居たろうがそれを見てロチの心臓は平静であったろうか?
 ブラジルでコーヒー畑の間を歩いて居る裸足の日本海外移民の魂には消えぬ望郷がある。日本にしかないソーユが構成した生理的望郷がある。ワシントン市在留駐米日本大使の知らぬこれは強烈な感覚的思慕だ。(大使館には 日本の塗膳とその上に並べる皿小鉢を満す料理人が居るであろう。)北緯四十*度から**度の間に弦に張られた島 日本が、敏感に西からの風、東からの風に震え反応しつつ、猶断然ユニークなソーユ

○人間がこの世に生きる人としての価値は、その人にどんなことでも――恐ろしいこと、けたはずれなことでも話せるかどうかという点にある。「尤も」以外にどの程度まで拡張して居るかということだ。
 芥川龍之介に向って馬鹿なことは云えなく感じた人は一人ではあるまい。芥川に人世に対する好みがあって、愛の少なかった所以だ。

○リアリストとしてのレムブラントからレムブラントのリアリズムへの飛躍

○病気して居ると
 一、早く朝になるのがよい。わるいときは六時頃でも。
 一、きれいで元気な女を見たい。
 ○日光がうれしい。
 ○緑の芽が出て育つ
前へ 次へ
全25ページ中24ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング