は枠囲み]
山川さんの時評、愉快。近頃日本林氏専売コロンタイ式恋愛に対する彼女の批評は全く正当だ。この論文は当然いつか誰かによって書かれるべきものであった。
ジャーナリズムの頭のわるさ或は誠意のなさは、斯の如き恋愛論と、石原純の記事へ真杉氏の恋愛的人道的認識との間にある間隔に対して何の判断をも与えて居ない。
○三時頃、少しうとうとして居たらYが来た。昼間の光でYの顔を見るのは珍しい。故に嬉しい。一つ芸当をして見せた。自分一人で半身起き上って、右肱をついて左手で傍の卓子からものをとるという芸当。そしたら、始めて彼方の隅に一つ白い布のかかった卓子のあるのが見えた。
十九日 土
ひどい風だ。雪が降り出した。――臥《ね》たきりの自分には何もわからない。ただ目の前に日光のささぬ水色の壁があるばかり。ファイエルマン退院をするので、噪いで аптека へ買物に出かける話だ。
一番若い医者が来た。椅子にかけ乍ら
――どうですか
――ありがとう 相変らず
――昨日は 我々 随分頭を振った
――何故?
――悪いものが出た、永く臥てなくちゃなりませんよ
――というと? 重いというわけ?
――
前へ
次へ
全25ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング