分もまたふたたび犯すであろうという意味を雑誌の上に明言しています。石川達三氏は、今日の人民的な民主主義をうちたてようとしているすべての正直な人々の努力の真只中でこういう放言をしながら、四国地方の反動団体の巻頭言などを書いています。
 また先日日比谷で行われたユネスコの大会で、ユネスコ文学のことについて演説をされました。ユネスコ(国際連合教育科学文化部)は中心題目として科学、教育、文化の上に平和と独立と自由とを確保して次の戦争を防止しようとする国際的組織です。
 去る十二月二十日に行われた東京ユネスコ協力会発起人会で招請状を出した新居格氏は、ユネスコの本質上この会は会員の純潔な良心に期待しなければならないと力説されました。発言した方々のすべてのことばはここに一致していました。その会の委員として石川達三氏があげられているということは矛盾ではないでしょうか。日本はふたたび軍事的・侵略的なあやまちを犯さないために組織されようとしている会の委員に、日本がふたたびあやまちを犯せば自分も犯すであろうといって、明瞭に今日国際間の問題になっている日本の反動勢力の擡頭に呼応する立場をしめしている石川達三氏
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