い羽目板にもたれて立ちながら、感動に満たされた心持であった。
このようにしてわれわれは鍛えられていく。何よりもその感じが深くあった。敵は中野重治を奪い、窪川をとらえ、壺井繁治をとらえ、蔵原までひっとらえて活動を妨害する。が、それで日本の湧き上るプロレタリア革命とその文化的欲求が根だやしに出来るとでもいうのだろうか。例えばわたしひとりについてみてさえも、この暴圧はプロレタリア婦人作家としての新たな決意を与えるにすぎない。みんながそうだ。プロレタリアの世界観をもつ者は敵の襲撃をも、それを受けた以上は必ず発展的に摂取する。闘いを通して、中野重治はさらに確乎たる革命詩人と成長するであろう。村山知義も鋭さを加えるであろう。捕えられた同志に代って、新たな部署についた同志たちは、また複雑な闘争を経て急速に政治的にも文学的にも発展せずにはいられない。このように敵が集中した襲撃を加えて来ることは、とりも直さずプロレタリア文化運動の拡がりと深さを意味するのだから、やがて工場、農村のプロレタリア文学通信員の中から、じりじり優秀な革命的芸術家が出て来るだろう。敵はこの力を止めることが出来るか? プロレタリア
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