って人間は生れ換るにきまっていると思うもん」
と云いながら涙ぐんだ。
それを思い出すと同時に、私はハッとした。飛んでもない悪いことをしたと思った。
あのとき、なぜあすこで、決してそんなことはないと云って置かなかっただろう。
若し今の「どこへ」という言葉が、それを原因として、彼の臨終を苦しめたあまりに発されたとしたら、自分は一生苦められなければならない。
ほんとになぜあのとき、今生きている通りの心で、犬や馬になることはないのだと断言しなかっただろう。
相すまなく思う。姉でありながら、あまり親切でなかったのを恥じる。
けれども、今、もうこうなっている彼に、その訳を訊こうとしてもそれは不可能である――下らないことである。
どこへ、どこへ、どこへ、どこへ!
言葉が体中を飛びまわるようで、私は瞬間的の眩暈《めまい》を感じた。
今まで気附かなかった一種の臭いがする。
暫く目を瞑って気を鎮めた自分が再び目を開いたとき、彼の呼吸は次第に弱くなって、顔には静かな、安らかな、子供らしい単純さが現われていた。
十一時十七分前。唇の色が褪《あ》せ、白灰色で縁取《へりど》りされた。
十一
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