の姿に似た響があの美くしさのせめてもの形見になるのだ。一生死ぬまでこの響を聞いて居なくっちゃ私はあの美くしかった精女にすまない……
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ペーンは葦を切ってつたでからげてその先に唇をあてて響を出す。
[#ここで字下げ終わり]
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ペーン あああのシリンクスの心が音にささやく、あの精女の姿がうき出して来る、――シリンクスの笛――それでいい、私のシリンクスを思ったほどに……あの美くしい姿は美くしい響になって残ってしまった!
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夢の様な、歎く様な細い声に川辺にすわったまんま吹きならす。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から1字上げ]幕。
底本:「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年11月25日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第6刷発行
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2009年10月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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