たまででございます。
第二の精霊 死ね? 思い切った事をお主は御云いなされた――コレ若い人、お主はそれをほんの心で聞いては大した事が出来ぬともかぎらぬ、じょうだんだと聞き流され、三つ子の云うた事だと思って居なされナ?
第三の精霊 私のほんの心できいてもなにも大した事等は起らぬ、私がこの精女殿に――まっしろけな幼児の様な心をもったこの御人にたのんで云うてもらった事じゃ。
第二の精霊 その様な事をたのむとはサテサテ――ほんとうに御主にはこの精女殿が美くしすぎたのじゃ。
第三の精霊 私はこの上もない安心を得たのじゃ。
嬉しい事だ、のぞみの満ち満ちた事だ。
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二人の精霊と精女とは若人のうす笑をしながら云って居る事をおどろきの目を見はってきいて居る。第三の精霊は頭をかるくふって遠くに流れて居る小川を見つめるといきなり張りのある響く声で、
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第三の精霊 美くしい精女殿、お二人の御年寄――さらばじゃ、この上ないよろこびのみちたところへ行く――青い水草は私の体をフンワリと抱えて冬の来ぬ国につれて行くワ、一寸の
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