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第三の精霊 何とか云うて下され精女、死ねとでも云うて下され、たんだ一ことで良いワ。
そのバラの花をつんで置いた様な唇からもれる言葉をきけば私は死んでも、――ナ? 死ねとでも云うて下され――
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第一[#「一」に「(ママ)」の注記]の精霊の目は狂った様に輝いて、顔中の筋肉がズーッとしまって居る。
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精女(足元を見つめたまんま震える声で)云っても良いんでございましょうか、――お死に遊ばせ。
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第一[#「一」に「(ママ)」の注記]の精霊は飛び上って精女の目を見つめ神経的に高笑をする。二人の精霊もその声にこっちを向いて二人の廻りをとり巻く。
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第一の精霊 シリンクスお主はこの若人に何をお云いなされた? あの笑い声は――あんまりとりとめもない声だったが――
精女(かおを赤くしながら無邪気に)アノ、私はこの方が死ねと云えとおっしゃいましたので申したんでございますが――この方はそれをきいて御笑いなさっ
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