に合わない。
 そこで、とにかく、われわれがプロレタリア婦人作家として日常の芸術行動、文化活動をして行くうちの経験として最近感じた一つの問題をとりあげ、少し吟味して見ることにした。
[#ここで字下げ終わり]

        何故これまで婦人作家は男の作家より少なかったか

 いつだったか、ブルジョア・ジャーナリズムがやっぱりこの問題をとりあげた。そして、世界各国の歴史を通じて何故婦人作家が男より少ないか、ということを云い出したが、問題をまともに追究せず、笑い話で下げにしてしまった。
 何故男より女の作家が少ないかと云えば、文学を司る神はミューズで、ミューズは女性だ。だから動物電気の工合で、男をヒイキにするが、女とは同性で相反撥し合う。やきもちをやく。故に女の作家というのは少ないが、音楽家を見るがいい、女で素晴らしい人がこれまでも多勢出たし、いまも出つつある。音楽の神はアポローだ。男だ。女をヒイキにしてくれるアポローのおかげで女の音楽家には素晴らしいのが沢山いるのだ。そういう説明でお茶を濁していた。
 この解答が、思いつき以外の何でもないことは、誰にでも、ハッキリわかる。
 では、ほん
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