プロレタリア文学における国際的主題について
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)穿鑿《せんさく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)吉行エイスケの中国もの[#「中国もの」に傍点]。
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一
『改造』十月号に藤森成吉が「転換時代」という小説を書いている。
自分は非常な興味をもってよみ始め、よみ終ってから何度も雑誌の頁をパラパラめくって考えこんだ。――感服したのではない。不服だった。大いに不服なのだが、この「転換時代」は非成功的作品にもかかわらず種々の発展的な問題を含んでいる。その問題の積極性が自分の注意を捕えた。
プロレタリア文学において、国際的主題はどう扱われるべきか。これが先ずその主な課題の一つなのだ。
本質からいって、正当なプロレタリア文学は基礎的な要素として根にひろい国際性をもつものだ。何等かの形でプロレタリア・農民の階級的闘争を直接・間接の主題としないプロレタリア文学というものはない。ところがプロレタリア・農民は日本にだけいるものだろうか? そうではない。ソヴェト同盟だけにかたま
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