学校から帰って来た。ランプがついている下で、大きい瀬戸物のスープ入れの壺のまわりへ親子がかたまり、かわりばんこに木匙をつっこんでキャベジスープをたべた。アグーシャは、ペーチャに、
――今日、見て来たぞ。
といった。
ペーチャは十三だ。パンを頬ばった口へ熱いシチを流しこみながら落ついて、
――それで?
といった。
アグーシャは、心のなかにある気持を説明できず、ただ肩をもちあげ、
――それっきりさ。
と答えた。
グレゴリーは、シチをほんの少しずつ木匙の中にすくい、左手にもったパン切れで受け、時々にんにくを噛みながらゆっくり、ゆっくり、気難かしい顔してたべている。自分の耕地からとった一枚ずつのキャベジの葉っぱを味わって食っている風だ。アグーシャは、またペーチャにいった。
――何《どう》してピムキンは、何にでも鼻柱つっこむだべえ。
――何した?
――委員にくっついて来くさった。ニキータが納屋さ入ったら、自分が監督か議長みたよに柵のそとから「そうだ! そうだ! そう、やらなくっちゃなんねえ※[#感嘆符二つ、1−8−75]」って頭ふってけつかった。
ペーチャは、めんどうくさそう
前へ
次へ
全39ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング