活動をされている。島木氏が四国の方で農民組合の活動をしていたことは恐らく今日では周知の事実であろう。作家島木氏として現れたのは出獄後のことである。その他多くの人々がそれぞれの道の違いはあっても、同じような性質の職能の変化でもって今日作家として活動していると思う。
去年の十二月二十二日にモスクワでニコライ・アレクセーヴィッチ・オストロフスキーがその三十二歳の生涯を終った。彼の作品「鋼鉄はいかに鍛えられたか」は邦訳された。遺憾なことにこの小説の翻訳はその内容の性質によって発売を禁ぜられた。出版当時には二三の人によって作品評を試みられていたのであった。この小説は作者オストロフスキーがロシアの国内戦当時自身経験し又見聞した歴史を描いたものであり、多分正宗白鳥氏であったかは、この作品の題材と筆致とを批評して、期待した程の感動を受けなかったと言っておられたと思う。しかしながらこの小説を読む機会があった他の多くの人々、特に若い層は、この小説から心に触れる印象を得た。オストロフスキーにあって私たちを打ったものは、その不撓不屈な意志で自分の生命を可能なあらゆる方法によって階級の発展のために役立てようと
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