とを言い、ローレンス等が紹介された。ファシズムをこれ等の人々は否定した。それと同時に、人間の能動的精神は、従来謂われて来た内容でのマルクシズムの思想でもないことを強調した。中間のものとして、自由主義的なものとして自身を押し出した。しかしながら、現実社会の複雑な事情を反映し、整理し、その間から文化的な発展性を引き出して行くためには、この抽象化された能動性、自由主義的立場というものは、結局為すところの少いものであった。
 ヒューマニズムは、能動的精神が提唱された時に本来的に欠けていた一つの思想的核ともいわれるようなものを持っている。これはヒューマニズムがそれに先行した能動的精神の提唱に比べて、はるかに我々の日常生活に於て社会的に、文化的に作用を及ぼす実践の可能を含んでいる特徴的な点である。ヒューマニズムは、ファシズムに明瞭に対立している。ファシズムの強権と横暴から人間の理性と合理性と自主性とを守ることを根本の目じるしとしている。その人類共同の目的に向って参加して来る者は何者をも拒むまいとしている。国内的にそのことが言われると同時に、国際的にも同じ事情に置かれており、それぞれの国の知識人をこ
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