ザックが描いたフーシェとを見くらべると、一驚する。バルザックのは、陰謀を企む人々の背景に、あるときはその前景にチラリ、チラリとフーシェの剛慾さ、あくどさ、無良心。悪計。実に大革命末期からナポレオン時代、つづいて第二帝政時代と三代に亙っての大陰謀家たるボリュームが髣髴とし、湯気を立てている。
 現代欧州作家の誰が、二十世紀の怪物であったヒットラーとその一味徒党を、描くだろう。



底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年4月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
親本:「宮本百合子全集 第八巻」河出書房
   1952(昭和27)年10月発行
初出:「歌声よ、おこれ」解放社
   1947(昭和22)年8月発行
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
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