のプロ文士の剣劇レビューは?
と云って笑った。
――ソヴェトのプロ文士の喧嘩もあんな工合なんですか。えらく荒っぽいことがすきと見えるね。
自分は返事に困った。だって、プロ文士と云ったって、所謂社会主義だって国家主義から共産主義までの間に種々雑多な日和見主義、民主主義がはさまって、何れも顔付だけは一廉《ひとかど》何か民衆解放に貢献するみたいに声明してはストライキを売ったりしてるのと同様だ。一口に云えぬ。まして日本みたいに労働者農民の政治的自覚がヨーロッパ戦争後世界経済界の変遷につれて急速に進展したところでは、プロレタリア文学発育の時間的に短い過去の中に極めてテンポの速いイデオロギー的躍進がつつみこまれてる。(一九二七年十一月)労農芸術家連盟(文芸戦線)が分裂して脱退派が前衛芸術家同盟を組織したときだって、イデオロギー的理由がちゃんとあった。山川均の労芸を政治的に利用しようとした野心的企てに==山川の政治理論に==賛成のものと不賛成のものとが分れたのだ。コミンテルンで山川均がどう批判されたか、今日の彼がどうだかということは、自覚ある民衆によってはっきり見られてる。当時、山川派としてのこ
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