ドン・バス炭坑区の「労働宮」
――ソヴェト同盟の労働者はどんな文化設備をもっているか――
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)四辺《あたり》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)三四|哩《マイル》先の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九三二年十一月〕
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世界の経済恐慌につれて、日本でも種々の生産(製糸、紡績、化学、運輸等)が低下し、それにつれて燃料原料となる石炭は二割七分の生産減を見た。北九州地方の炭坑労働者の生活などはこの頃以前にましてひどい有様になって来ている。(賃銀は一日平均十時間労働で一円五六十銭やっとだ。恐慌前から見ると二十銭以上引下げ)
これは北九州の或る坑山で実際にあった話であるが、或る坑山が所謂事業不振で閉鎖されることになった。会社の方では儲がうすくなったから、これ以上損をすまいと勝手に閉めるのだが、その日から女房子供を抱えて路頭に迷わなければならない数百人の労働者達は、黙ってそうですかと引込んではおれない。かたまって事務所へ押しかけ、閉めるのは勝手
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