的に、ボリシェビキ的に置かれてる情勢を批判しなけりゃならないときなんだ!」
「そうだ!」
「その通り!」
「タワーリシチ!」
肩で人垣をわけながら、大きな髭をもった男がテーブルのわきへ出て来た。
「俺は、第二交代だ。ひと言云わしてくれ」
手の甲で口の端を一ふきし、変に顔を外方へ向けるような反抗的な姿勢で云い出した。
「兄弟! 俺はこういう疑問をもってるんだ。長いこともってるんだ。われわれ生産に従事する労働者に食糧が足りねえとき、何故国家保安部の消費組合だけはフンダンに物をもってるのか?
何故外国人だけ、特別の切符でしこたまものを食うことが許されてるのか?――俺はこれに答えて貰いてんだ!」
労働通信員グーロフは、額のとこへ太い青筋を浮き上らし、盛に左の手の爪をかみながらテーブルへ腹を押しつけ紙切に何か書きつけてる。
アクリーナが、窓枠へ腰かけ両手をつっぱったまま叫んだ。
「私は労働婦人として云うんだけれど、全くこの頃の消費組合ったらなっちゃいやしない! きのう塩漬キャベジを百グラム買うのに、何分列に立たせられたと思う? レーニンは女を台所から解放しろと云った。レーニンが死んで何
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