んなに真黒な毛生やしてても、為になることも覚えてるんだね」
「俺ら直ぐアジプロ部へ行って来る」
ヤーシャは、はじめ歩いていたが見ているうちにだんだん大股になり、とうとう駆け出した。駆けて作業場の建物の角を事務所の方へ曲った。
三
コムソモーレツ、ヤーシャが大きな紙に赤インキで書いたビラを両手でもってやって来た。仕事場の横の、生産予定表だの、小さい壁新聞だのの張ってある壁にそいつを貼ろうとしてのび上った。
一人じゃうまく行かない。
それと見て、オーリャが手鑢にかけてた締金を放り出し、可愛く紐の結び目のおったった紺の上被りの端で手を拭いて、貼るのを手伝ってやった。
モーターは唸ってる。
真夏の午過の炎暑の中へ更に熱っぽい鉄の匂いがある。
ツウィーッ!
ツウィーッ!
ビラにはこう書いてある。
仕事がスンだら所持品棚のところへ集れ!
三十分を惜しむな!
食糧問題の自主的、階級的解決は俺達の任務だ!
ボルシェビキ的積極性で、ヤッテ来イ※[#感嘆符二つ、1−8−75]
[#地より4字上げ]職場アジプロ委員
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