〔十七字伏字〕、〔四字伏字〕だよ、今は。
「まあ、いいや。……それで、赤色職業組合なんかあるか?……メーデーにデモンストレーションやるんか?」
「ああ。トラックで一杯〔六字伏字〕」
ドッと愉快そうにみんなが互に顔を見合わせながら笑った。鞣の前垂れかけたのが、信吉の肩をたたきながら、
「ナーニいいさ? 今に見てろ。〔十六字伏字〕」
ギューッと曲げて力瘤の出た二の腕を、ドスンドスンと叩いて見せた。
「わかるだろ? そして、〔十三字伏字〕。そのとき、こっちじゃ五ヵ年計画を三つも四つもやっといて、飛行機で〔十二字伏字〕!」
菜っ葉服にオガッ屑をつけ、鳥打帽をかぶった鼻の赤い木工らしいのが、
「おめ、おめえんとこに、飛、飛行機あるかね?」
と吃りながらきいた。
「勿論あるさ!」
信吉は力をいれて答えた。
コムソモーレツらしいのが口を入れた。
「日本の〔四字伏字〕工業技術は進んでるんだ。水力電気も発達してるんだぜ」
暫く、みんな黙ってたが、木工が、
「おおお前の方じゃ、ど、どうだね、大体食糧なんざ、た、たんとあるかね?」
忽ちすべての目が信吉に向ってシーンと引きしまった。飾りのないと
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