て社会主義的建て直しをやろうとしている時、農村ソヴェトの進退は、重大な意味をもっている。その農村ソヴェト選挙に当って活動する農村の女が、では農村ソヴェトの実際的な使命をどう理解しているかということが、従ってまた重大な関係を持っているのは当然である。
帝政時代、農村の女はひどく暮した。今、彼女らは解放された。しかし、社会主義社会建設のための任務を、十人が十人同じように理解しているだろうか。そうだとは決していえぬ。
そこで、スモーリヌイのレーニングラード・ソヴェト婦人部は文化部の事業として、この農村ソヴェト選挙準備のための夏期講習会を組織した。
期間。二ヵ月。
課目。ソヴェト政権とはなにか。世界の経済。党史。数学。ロシア語。
今ここで、勉強している農婦、妻であり、母である彼女たちは、講習をすまして田舎へかえれば、それぞれの村で直接、農村ソヴェトに関する活動の指導者として働かなければならないのだ。
いつの間にか入って来て、日本女のうしろに立っていた、若い、麻の仕事着をきた女が小さい声でいった。
――この中には現に村ソヴェトの書記をしているひともあるんです。……みんな遠いところか
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