しりした肩つきだ。若いの、中年の、いれまじった顔は、どれも自分たちの思考力を鉛筆の先へつかまえておくために本気である。
地味な、断髪の女が机と机との間をしずかに歩いている。肩ごしに女たちの手帳をのぞき、時々必要な注意を与えている。日本女のすぐそばまで来た時、二十七八の女の手帳をのぞき低い声で、
――これは間違ってる。
注意を与えた。
――これは質問です。あんたが書かなけりゃならないのは、これの答えです。
いわれた女は、ちょいと顎を出して、大きく合点した。そして顔を赤くした。
ソヴェト・ロシアにおいては、さっき三階の、ローザ・ルクセンブルグの肖像画のかかった室で、婦人党員が説明したように、実践をとおして獲得した女の公民権を十分に行使する者の率が年々素晴らしく増して来た。たとえば農村においてさえ、ソヴェト選挙のとき活動する女の率が、
一九二四年 二五パーセント
一九二五年 三十パーセント
一九二六年 七十三パーセント
という飛躍ぶりだ。農村ソヴェトの指導的位置について働いている女さえすでに数千人いる。СССРが、農村の集団化、集団農場を中心とし
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