者のためだけに開演する。
前もって職業組合から切符を渡されているモスクワ中の勤労者はこの芸術座ばかりでなく全市の各劇場にわり当てられ、プロレタリアートの祝祭第二晩目をたのしく過すのである。
芸術座の出しものは「三肥大漢」だった。
エム・オー・エス・ペー・エス劇場では二日の晩に「憤怒」を上演した。
五ヵ年計画が実施されるにつれソヴェトではだんだん劇場の上演目録も変った。
古典的なオペラ・バレーを演じている国立オペラ舞踊劇場でさえ「蹴球選手」という五ヵ年計画を主題の中へとり入れたバレーを上演した。
カターエフの「前衛」がワフタンゴフ劇場で演じられる。
レーニングラードからきたトラムは農村における集団農場組織にからんで起ったコムソモール悲劇をみせた。
エム・オー・エス・ペー・エスの「憤怒」も集団農場の組織を主題としたものだ。
カターエフの「前衛」は集団農場組織=農村における五ヵ年計画と、都会の工場との結合、貧農の機械化に対する自発性を取り扱っている点なかなか面白いが、一つ重大な誤謬を持っている。それは、集団農場組織にさいして都会から派遣されてきた指導者とそこの富農とが階級的
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