アメリカ文士気質
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)悪《にく》く
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九二〇年四月〕
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私がアメリカにおりましたのは僅か一年半ばかしのことで、別にたいした感想もありません。が、向うへ行く前までは家庭にばかりいて、本当の世間というものを直接に余り見たことのない私には、それがたとい短かい一年半にしてもこの「世間を見て来た」という点に於いてよいことであったように思われます。そして、以前とは多少、物の見方や考え方なども自分ながら変って来ていることにも気付きますが、併し、そんなことを長々と申しましたところで、それは私自身のことで、この雑誌の読者の方にはわかり悪《にく》くもありましょうし、また興味もありますまいかと思われます。そこで、内的な私自身のことをお話するよりも、もっと一般的な意味で、私の見て来た彼方の同人雑誌のことをほんの少しだけ申してみましょう。
彼方でもやはり日本と同じように、『文章倶楽部』のような雑誌もありますし、また『奇蹟』とか『異象』とかいうような同人雑誌
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