頭で時に教授より暗記しているおかしいやつ!
 学生たちは、互に幼稚園時代から共学でやって来てる。一緒に働き、遊び、男の子たちは、女の子がヒステリーを起して卒倒するのから、学生大会で、雄弁をふるうのまで見てる。男の子が、どんなに確《しっか》りしてると同時に妙な奴が時々あるか、女の学生だって知ってる。
 工場で一緒に働いていたものだって、ここにはいる。
 今日は、前週出した、インドにおける綿花生産の消長と英国資本主義との関係に関する学生の研究報告の批評があった。この仕事を学生たちは、三組に分れ、集団的にやったのだ。
 ワーニカはターニャとは別の組に入った。ターニャはちぢれっ毛のイリーナや、氷滑選手のワーシカなんかとやった。
 授業時間がすむと、ちぢれっ毛のイリーナとターニャはつれだって図書館へ行った。ワーニカは飯を食わなけりゃならない。
 構内の学生食堂で、キャベジ・スープをたべてると、赤い襟巻をしたマトリョーナがやって来た。
 ――ここあいてる?
 ――ああ。
 ――ワーニカ! マクシムを、こんど一般委員会で批判しなくちゃ駄目だ。あの男、こないだの遠足の明細書をまだまだ学級経済委員へ出さ
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