ロシア革命は婦人を解放した
――口火を切った婦人デーの闘い――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)皇帝《ツァー》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一日三十五|哥《カペイキ》(三十五銭ぐらい)。

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ことわざ[#「ことわざ」に傍点]で
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 皇帝《ツァー》と地主と資本家によって搾取が行われていた時代、ロシアの勤労階級の男は、教会の坊主から常に「お前らが此世でつかえなければならない主人は三人ある」と説教されていた。その三人の主人というのは「天の神、神の子であるツァー、ツァーの子であるお前らの主人、雇主など三人である」と説きつけられ、屈従を強いられていた。
 働く婦人は一層ひどかった。坊主は女に向って十字架をふりかざし、恐ろしい目つきをして命令した。
「お前が一生命令に従わなくてはならない主人が此世に四人あるゾ。第一が天の神、第二が神のお子である皇帝、第三がお前らの使われている主人、第四が亭主だ。わかったか」
 工場で女は十一時間、十二時間と働かされ、賃銀は一
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