日三十五|哥《カペイキ》(三十五銭ぐらい)。身持ちになっても休めばクビであるから辛棒して働き、機械の前に倒れてそのまま赤字を生むことさえ珍しくなかった。物がわかると、獣のような生活から反抗するから、皇帝と資本家と地主との政府は、女を軽蔑して学問をさせず「女と牝鷄は人間でない」ということわざ[#「ことわざ」に傍点]で女を圧しつけて、搾った。
農村の女は、ほんとに家畜のようであった。
だが、女が工場に働き、農村で働くうちにストライキの経験、争議の経験などにより、プロレタリアートの幸福というものは自分達が団結して、皇帝《ツァー》、資本家地主と闘い、それをうち倒し自分らの手でうち立てなければならないものであることを知りはじめた。
一九一七年三月八日の婦人デーは世界の働く婦人にとって忘れられない日である。ロシアの働く婦人はこの日「パンと平和をよこせ!」と叫んで街頭に溢れ出し、幾千人という婦人が憲兵と勇ましく闘って、遂に世界の歴史を新しくした革命の第一の口火を切った。その頃は第一次帝国主義世界戦争で皇帝資本家地主は自身の利益のため、労働者農民を何十万人と西部戦線で殺していた。国内では工場が閉
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