ロシアの過去を物語る革命博物館を観る
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)叮嚀《ていねい》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九三一年十一月〕
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 一月のある寒い日のことだ。
 革命博物館見物に出かける。モスクワでは、東京の銀座のような賑やかな通りトゥウェルスカヤ通りをずっと行って、イズヴェスチア新聞社の高い時計台、詩人プーシキンの雪を冠った銅像の見えるストラスナヤ広場を横ぎる。
 間もなく左手に広い前庭をもった黄色い大きな建物がある。小さい門から、ゾロゾロいろんな人が出入りしている。ここが革命博物館だ。
 切符を買って、外套預場へ入ると、ちょうど、モスクワ市の何処かの小学校から見学団がやって来ているところだ。男の子や女の子が、各々の班長を囲んで、かたまり合い、陽気に笑ったりしゃべったりしながら、案内者の来るのを待っている。

 革命博物館は、まとまった見学団が来た場合、いつでもちゃんとした案内者をつけて、一つ一つの室について親切な説明をしてくれる。自分達は、僅か二人だ。案内者はたのめない。同じよ
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