しいれた。明瞭な悪意がないと云うことと、しかも所有権被震撼者が神経消耗をやったあげく時には五日もかかる自動車修繕代を支弁しなければならぬと云うところに娯楽《プレジュア》の現代漫画性がある。

「賃金は低下されなければならぬ」ボールドウィン。
「然り、だが仲裁裁判によって」マクドナルド。
 飢餓審判と戦え!
 賃金値下げに対してストライキせよ!
 少数運動者大会が争闘へ指導する。
 新年から我等の日刊新聞を。それを持たないうち我らは共産党じゃない。
 先ず犠牲を!
 ドイツ労働者は『赤旗《ローテファーネ》』のために何をしたか。
 コヴェント・ガーデンはロンドン野菜市場だ。花野菜、かぶ、きゅうりの山から発散する巨大な青くささに向って一つのガラス窓がひらいている。窓の内に赤い布で飾られたレーニンの写真がある。反帝国主義戦争のパンフレットが並べてある。粗末な古い木の床の左右は本棚である。トルストイ、トゥルゲニェフ、チェホフ、ゴーリキー、リベディンスキー、グラトコフ。それらの英訳が各国の翻訳論文集や、ミル、アダム・スミスとともに立ててある。ここは本屋でもある。正面の勘定台に男が二人、一人は立った
前へ 次へ
全67ページ中61ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング