るってのが彼らの考えかただから、妙さ!
妙な考えかたをするという点においてはイタリーのファッシズムとロシア・プロレタリア独裁が氏にとって全く相ひとしきものである。
「英国人の着実な商魂が実際においてどれだけの働きをしているかと云うことは、炭坑夫安寧協会の仕事を見ても分る。炭坑主が一頓について一ペンスだけ出して独立な大きいビジネスをやってるんだ。」
しかし、その同じ着実な商魂が考え出した英国炭坑における合理化《ラショナリゼーション》と云うことは、二年前(一九二七年)に比べると十六パーセント減の労働人員によって前年より千三百万頓増大した採掘量を持ち、労働者の賃金は一交代九シリング六ペンスから九シリング一ペンス1/2に落ちて死傷率が高くなったという事を意味する。
ペンネン通十三番地。労働大学《レーバーカレッジ》の露台の上に大きな「売家《トゥ・ビィ・セールド》」の広告が張り出されていた。内部は空屋同然である。前垂をかけた掃除女が一人廊下を歩いている。階下の戸を開けっ放した室で年とった四角の体の男が時々来て残務整理をやった。
――御承知のような現状で坑夫組合はこの学校で三十人前後教育す
前へ
次へ
全67ページ中51ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング