が、エフレイノフとゴーリキイとを特別の友情で結びつけるに至った。エフレイノフは美しい長髪を振りながら、善良な心に燃えてゴーリキイを説得した。
「君は生れつき科学に奉仕するために作られているんだ。――大学は正に君のような若者を必要としているのだ」
 そして、エフレイノフの言葉に従えば、カザンへ行ったらゴーリキイは彼の家で一緒に暮し、秋と冬との間に中学卒業の資格をとって、幾つかの[#「幾つかの」に傍点]試験を受ける。カザン大学はゴーリキイのような若者に官費をくれる。五年も経てば、ゴーリキイはきっと「学者」になれるというのである。
 現実生活から読書からの印象と、目覚め発育を意識する知性の渾沌で苦しんでいたゴーリキイにとって、エフレイノフのこれ等の言葉が強い刺戟を与えたのはまことに自然である。彼はこの時、ヴォルガ通いの汽船の上で、皿洗い小僧をしていた自分に云った料理人スムールイの言葉をも記憶の中に思い起したことであろう。スムールイも繰返し云った。「お前には智慧がある。ここはお前のいるところでない。出て行って暮せ!」又「俺に金があったら勉強させてやるんだがなあ……」
 何とかしてカザン大学に入
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