のであった。
「此の自分を何とかしなければならない。さもないと、俺は破滅してしまう……」
 人生の袋小路からの脱け路を求めつつ、ゴーリキイは自分が小さい時分、秋、日暮れ近い森で道に迷った時のやりかたを思い出した。そういう時彼は、茂みの中で朽ちた枝の上でも、沼地の滑り易い凸凹の上でも所きらわず真直行くといつかは道に出ることが出来た。ゴーリキイはその通りにやろうと決心した。その秋、ゴーリキイは、遂に大学のあるカザンへ出発することにしたのであった。

        青年時代
          ――私の大学――

 自身の裡に夥しく蓄積され、殆ど彼を圧し潰しそうに感じられる人生からの濃厚な印象、湧き起る様々の疑問は、十五歳のゴーリキイを抑え難い力で、どこかへ、ここニージニでないところへ、もっと広い、もっと息のつけるところへと押し出しつつあったのであるが、その方角をカザン市ときめたのには、彼より四つ年上の中学生エフレイノフの影響があった。
 当時、市場の建築工事場の若い事務員をしていたゴーリキイと同じニージニの或る屋根裏部屋を借りてエフレイノフが住んでいた。ゴーリキイの天質と驚くべき読書慾と
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