くものであることを会得した人々である。そして、躊躇するところなくこの地球が初めてもったソヴェト同盟の革命を支持し、その社会主義社会の達成のために全世界の進歩的な労働者、農民、インテリゲンツィアと共にその第一線に立っている人々なのである。
 マクシム・ゴーリキイの短い伝記を書くときまった時、私は大変嬉しかった。私はゴーリキイを愛しているし、彼がどんなに熱心に生きたかを簡単ながら大勢の読者と共に語り、数々の教訓を引き出したいと思ったからである。ところが、仕事にとりかかって見ると、ゴーリキイの伝を書くということは案外にむずかしい仕事であることがわかった。それ程、ゴーリキイが今日まで経て来た六十五年の歳月は内容豊富であり、波瀾にとみ、その一つ一つがどれもロシア革命の歴史ときっちり結びついている。一八六〇年代以後のロシア革命史は、何かの形でみんなゴーリキイの生涯の出来事のうちに反映しているのである。

 一九二八年、五年ぶりでソヴェト同盟に帰って来るゴーリキイを迎えるために、モスクワもレーニングラードも一種の亢奮で湧き立っている。モスクワの中央図書館では、特別移動的なゴーリキイ展覧会を組織し、ゴ
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