そして、文学研究会の机のまわりでだけ通用するような仲間の批評に熱中する。しかも、基礎的な文学の勉強は組織的に行われていず、党大会の前に作家団と作家団との間に行われ「ラップ」の内部にも行われた社会現実を土台とした意味深い文学上の理論討論について、或る研究会では何にも知らなかったという実例があった。「ラップ」はそれで驚いた。プロレタリア文学の普及は、そういう風に労働と分裂して行われることがあっては邪道だ、それでは真に前進的な勤労大衆の中からよい作家を導き出すことも出来ない。文学研究会の指導は、あくまで生産に即して行われなければならない。文学研究会気質を撲滅せよ!
 文学研究会員の前へ、あらゆる工場の壁新聞、工場新聞が、彼等の活動場面として見直されるべきものとして「ラップ」によって呈出された。文学研究会員たちよ、お高くとまって間違うな。諸君の文学的訓練は、再建設期にあって、生産経済計画充実のために、どう文学的技術を利用し得るかという具体的な習練からはじまるのだ。
 活々として人の心をとらえる階級的な文学の言葉、表現をもって、生産経済計画《プロフィンプラン》充実のために、プロレタリアートの自発
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