ヴェト作家の各層に、政治的立場の決定を要求しなければならない時なのだと。」この発言には前進するソヴェト社会の必然が語られている。
ソヴェトのプロレタリアートは革命以来、目のまわるような十数年を生きた。四方八方で新しい社会への基礎工事がはじまり、そのために有用な知識は、どんなものでも生かして使われた。マルクシストと自称する一群のレーニン主義を理解しないマルクシスト[#「マルクシスト」に傍点]さえ、「マルクシズム同盟員」として、働きを与えられていた。
五ヵ年計画はソヴェトの建設政策の歴史の上でも、最も具体的なレーニン主義的な現実変革の一例である。この歴史的な発展期に「マルクシズム同盟員」のこれまでの考えかたのあやまりが明瞭になったのはこのウォロンスキーの例ばかりではない。やっぱりソヴェトのマルクシズム文学理論家として、モスクワ大学に講義しているペレウェルゼフ教授も、現実によってきびしく批判された。
ペレウェルゼフの誤謬は、機械主義にあった。彼の考えかたによると、主観は客観条件の全然機械的な反映だということになっている。文学理論にそれをあてはめると、社会の客観的事情が、ただ作家の主観を
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