導しても、党は或る一定の文学的分派を支持することは出来ない。」「党はあらゆる異った団体及び潮流との間の自由な競争を宣言せざるを得ない。他のあらゆる解決は役所的、官僚的な虚偽な解決となるだろう。」
 つまり、党は、プロレタリア作家団体だからと云って、その団体ばかりを特別エコヒイキはしないぞ。ソヴェト同盟内の革命的プロレタリアートと党とは、過渡期のソヴェト社会内のあらゆる異分子と闘い、或るときはそれをボルシェビキ的な指導によって、発展させることによって、実践によって、社会主義社会建設の道を前進している。プロレタリア文学の発達の道も同じだ。多くの流派の間で揉まれ、試され、闘いつつ、自身の文学的実践で自分の道を勝ちとれ。そういう意味なのだ。
 階級社会の現実につよく根ざして成長するものでなくて、権力によって調節されたり、特権を利用しなければ権威のないような文学的見地に立つなら、プロレタリア文学は発展も成長もしないという意味のことを云っているのだ。こういう、党の文学に対する態度が、正当であるのは誰でも認めるだろう。
 ソヴェトに於いて一九一七年から二一年までは、時々刻々が燃え立つ革命の年であった
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