。等々。
 富農は財産を没収され、或るものは村から追放された。或るものは、コムソモールを殺した銃で自殺した。
「サラフキへ行かないのかい? まだ。――」
 冗談も、一九二九年には変った。サラフキというのは不正なことをしていた技師などが頻々と送られる労働植民地の名だ。
 復活祭・降誕祭は、反宗教宣伝の日となり、クレムリンの外壁にあった辻堂などもとりはらわれた。
 本屋の店頭は、五ヵ年計画に関するパンフレットの洪水だ。
 プロレタリアートの党と政府とは、飛び散る階級闘争の火花の間で、率直にボルシェビキらしく告白している。
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国家は金がいる。君等の余分な一|哥《カペイカ》を! 社会主義建設のために※[#感嘆符二つ、1−8−75]
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 貯金と五ヵ年計画公債への召集だ。
 職場のウダールニク達が、汗の中から大衆へ呼びかけた。
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プロレタリアートの技術を高めろ! 技術家と熟練工の部隊をプロレタリアートの中から出せ!
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 一九二九年に、十月革命以来教育人民委員長をしていたルナチ
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