、見る。ヴォルガ河の沿岸に組織されかけている大集団農場の有様を。どうだ! ドニェプル発電所の雄大な建設工事は!
 フフフフ。昼休み、工場の日向でラジオをききながら『労働者新聞』をよんでたミーチャが、仲間の横腹を肱でついた。
 ――ウム! 見ろ。こういかなくっちゃならない。いつだね? 俺たちんところでは?
 ミーチャのよんでいる労働者新聞には官僚主義撲滅の一般集会で、やり玉にあげられた官僚主義の工場委員が、顰めっ面してさすがバツわるそうに写真にとられている。
 官僚主義撲滅は、どこまでも、どこででも行われた。モスクワ・ソヴェトの内部でも。各人民委員会の内部でも。党の中でも同じことだ。
 生産のあらゆる場所に能率増進の篤志労働者団「ウダールニク」が組織された。ウダールニクは党員、党外の革命的な男女勤労者を網羅した。
「軽騎隊《リョーフカヤ・カバレーリ》」は特別に組織された党からの委員とともに、生産機構全般にわたってその内部従業員の清掃に着手した。モスクワ目抜の大通りに、七階の美しい大建築がある。郵電省だ。通用門には、付剣の赤軍兵士が平和に立番している。オートバイや小型自動車にのった郵便収集
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