その上、資本主義にとってこのましくない社会主義社会の存在をこの地球から追っぱらえる!
 だが、世界の資本主義国に年々溢れて来る失業群はどうだ。商品の生産過剰。従って労働賃銀の低下、労働強化。ブルジョア産業合理化によって尖鋭化される万国プロレタリアートの階級的自覚は押えきれない。
 生産拡張の五ヵ年計画は、ソヴェトの勤労階級が自分たちの幸福増進のために決心したばかりではない。世界の勤労人民解放運動の前哨としてのソヴェトが富饒な国内の天然資源を百パーセントに活用し社会主義社会の実在の可能を固めようとする意気込みの具体化だ。帝国主義国の社会に対する、最も実践的な歴史的主張なのだ。
 計画は大きい。真剣な努力がいる。
 一九二八・九年の新経済年度から、ソヴェトでは大じかけに日常生活プログラムの建て直しがはじまった。能率増進のために、五日を一週間とする「間断なき週間」制が実施された。
 労働の規律のために、工場内の酔っぱらい、ノラクラ者は厳重に仲間から批判され、往来で、火酒《ウォトカ》の瓶をズボンのポケットからはみ出させながらフラついてる者は、ごくたまにしか見られなくなった。
 キネマの映写幕に
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