その上、資本主義にとってこのましくない社会主義社会の存在をこの地球から追っぱらえる!
だが、世界の資本主義国に年々溢れて来る失業群はどうだ。商品の生産過剰。従って労働賃銀の低下、労働強化。ブルジョア産業合理化によって尖鋭化される万国プロレタリアートの階級的自覚は押えきれない。
生産拡張の五ヵ年計画は、ソヴェトの勤労階級が自分たちの幸福増進のために決心したばかりではない。世界の勤労人民解放運動の前哨としてのソヴェトが富饒な国内の天然資源を百パーセントに活用し社会主義社会の実在の可能を固めようとする意気込みの具体化だ。帝国主義国の社会に対する、最も実践的な歴史的主張なのだ。
計画は大きい。真剣な努力がいる。
一九二八・九年の新経済年度から、ソヴェトでは大じかけに日常生活プログラムの建て直しがはじまった。能率増進のために、五日を一週間とする「間断なき週間」制が実施された。
労働の規律のために、工場内の酔っぱらい、ノラクラ者は厳重に仲間から批判され、往来で、火酒《ウォトカ》の瓶をズボンのポケットからはみ出させながらフラついてる者は、ごくたまにしか見られなくなった。
キネマの映写幕に、見る。ヴォルガ河の沿岸に組織されかけている大集団農場の有様を。どうだ! ドニェプル発電所の雄大な建設工事は!
フフフフ。昼休み、工場の日向でラジオをききながら『労働者新聞』をよんでたミーチャが、仲間の横腹を肱でついた。
――ウム! 見ろ。こういかなくっちゃならない。いつだね? 俺たちんところでは?
ミーチャのよんでいる労働者新聞には官僚主義撲滅の一般集会で、やり玉にあげられた官僚主義の工場委員が、顰めっ面してさすがバツわるそうに写真にとられている。
官僚主義撲滅は、どこまでも、どこででも行われた。モスクワ・ソヴェトの内部でも。各人民委員会の内部でも。党の中でも同じことだ。
生産のあらゆる場所に能率増進の篤志労働者団「ウダールニク」が組織された。ウダールニクは党員、党外の革命的な男女勤労者を網羅した。
「軽騎隊《リョーフカヤ・カバレーリ》」は特別に組織された党からの委員とともに、生産機構全般にわたってその内部従業員の清掃に着手した。モスクワ目抜の大通りに、七階の美しい大建築がある。郵電省だ。通用門には、付剣の赤軍兵士が平和に立番している。オートバイや小型自動車にのった郵便収集人が勢よく出入する。わきのガラス大戸の上に、今日もきのうも、赤いプラカートが翻っている。何かの祝祭か? そうじゃない。プラカートには書いてある。「われ等のところで機能清掃が行われている!」
「十月」に勝利した当時、プロレタリアートの技術は低かった。いろんな役人、技師、教授が、古い陣営の中から来ている。この重大な社会主義再建設期に、有害な妨害分子が巣食ってはいないか? とそのための掃除だ。
春、集団農場中央や党の宣伝部から派遣されたコムソモーレツ、専門家たちは、彼等を支持する貧農中農らの働く耕地の泥にまびれながら、富農とその一味との激しい階級闘争を闘った。それは、かけねなしの「農村の十月」だった。或るコムソモーレツは、村の富農に窓越しに射撃されて即死した。
或る村で、積極的な集団農場組織者だった村ソヴェトの役員が、或る日中央からの党員と、管内巡察に出かけた。森にかかった。いきなり道ばたの数丈もある杉の木が彼等ののってる荷馬車の上へ倒れかかって来た。ソヴェトに忠実な二人の活動家は圧死した。杉が倒れたのじゃなかった。その木のかげにいた三人の富農に倒されたのだった。そのほか麦穀倉庫への放火。等々。
富農は財産を没収され、或るものは村から追放された。或るものは、コムソモールを殺した銃で自殺した。
「サラフキへ行かないのかい? まだ。――」
冗談も、一九二九年には変った。サラフキというのは不正なことをしていた技師などが頻々と送られる労働植民地の名だ。
復活祭・降誕祭は、反宗教宣伝の日となり、クレムリンの外壁にあった辻堂などもとりはらわれた。
本屋の店頭は、五ヵ年計画に関するパンフレットの洪水だ。
プロレタリアートの党と政府とは、飛び散る階級闘争の火花の間で、率直にボルシェビキらしく告白している。
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国家は金がいる。君等の余分な一|哥《カペイカ》を! 社会主義建設のために※[#感嘆符二つ、1−8−75]
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貯金と五ヵ年計画公債への召集だ。
職場のウダールニク達が、汗の中から大衆へ呼びかけた。
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プロレタリアートの技術を高めろ! 技術家と熟練工の部隊をプロレタリアートの中から出せ!
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一九二九年に、十月革命以来教育人民委員長をしていたルナチ
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