局の目的に向って社会を押しすすめて行く上に、必要なもの、役に立つものと、そうでないものとがある。それはどうしたって区別して、それはそれとして扱って行かなくちゃならない。常識で考えたって明かなことさ。そうだろう? だから、直接大衆に呼びかけ、気分に作用する映画、芝居の上演目録に対して注意ぶかいのは当然だ。それは組織的にされている。中央上演目録検閲委員会というのがあって、各劇場の上演目録を研究する。そして決定する。でも、一言念を押しておくが、これは日本の内務省の検閲課じゃないんだよ。有名な劇団人、俳優、作家、劇作家、画家それに文化専門の人があつまっている委員会なのだ。
――クラブの劇場研究会なんぞも、そこで統制されて行くんだろうか?
――それは別だ。クラブのは、МОСПС《エムオーエスペーエス》劇場――モスクワ地方職業組合ソヴェト劇場が責任を負っている。
――なるほどね。ところで、どうだい、作者はやっぱりソヴェトでも作者かい? 給金なんかどんな風なんだろう。……所謂大部屋連、下まわりっていうようなものは、存在してるのかしら。
――現在のソヴェトでは、まだあらゆる生産の部門に、革命以
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