れる。
官僚主義者なんかも五ヵ年計画後のソヴェト社会には見たくてももういない。やっと一人、第一部からの中心人物である、プリスィプキンが、その見本に、博物学教室で飼われている。
五十年後のソヴェト社会では、重大事件がすべてラジオで投票決議されるということになっている。清潔な社会主義社会にとって有毒な官僚主義、俗人趣味のバチルスとしてのプリスィプキンは仮死状態で発見されたがそれをどう処理するか。やっぱり全|СССР《エスエスエスエル》のラジオの決議で活きかえらすことになり、珍動物として厳重な檻の中で試育され、マスクをかけた一九七九年代の社会主義教授が男女学生に官僚主義という珍しい習性について説明してやるという筋だ。
五幕九場のこの喜劇は、ソヴェトが、五ヵ年計画のはじまり、実際大仕掛に官僚主義撲滅と、労働の規律のためにアルコーリズム反対をやった時代に「左翼戦線」の詩人マヤコフスキーによって書かれたものだ。
メイエルホリドは、彼の「再建設期のソヴェト劇場の任務」を、この左派|同伴者《パプツチキ》詩人の作品で、どんな工合に実現して行ったろうか?
主題は、たしかにソヴェト大衆がその労働で
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