下げ]
第一|国立オペラ舞踊劇場《ゴトブ》
バレー「蹴球選手《フットボーリスト》」
グルジューモフ作
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中国革命と中国の美しい娘。帝国主義と軍国主義とを主題にした「赤いけし」がソヴェトの新しいバレーとして紹介されてから数年たつ。
ソヴェト市民は新来の外国人を見ると、先ずいつも訊くだろう。
――赤いけしを観ましたか?
しかし、それを観てしまうと、もうほんとに新しいソヴェトのバレーは種ぎれだった、昔ながらの「眠り姫」を見物しなければならない。――ソヴェトは、もう革命から十三年目ではないか。それだのに、バレーの状態は国立オペラ舞踊劇場の保守性を示してるのか。或はよい舞踊劇の作者がソヴェトにはまだ生れないということなのか。
所謂ロシア舞踊は世界的名声を博していた。ソヴェトの全生活は急テンポに社会主義社会に向って前進しているのに、バレーがその動きをまるっきり反映しないというのは妙だ。――
勤労大衆だって思っていることは同じだった。だから、五ヵ年計画第二年めに新作バレー「蹴球選手《フットボーリスト》」の上演が発表されるとそれは一般的な亢奮
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