一万五千ルーブリ持ってるような大劇場だと、第一級の俳優=芸術労働者は三百五十ルーブリから五百ルーブリ。芸術労働者の資格も八級ばかりにわかれていて、その位の劇場だと、ビリで七十五ルーブリから八十五ルーブリとるんだ。
 ――ふーん。……じゃあ舞台監督だの、振りつけ、照明、そんな技術家は?
 ――舞台監督はなかなかいいよ、第一グループの劇場で六百ルーブリ、第五グループで三百ルーブリ。装置をやる美術家が二百五十ルーブリから五百ルーブリ。振りつけ、大体百ルーブリから二百五十ルーブリ見当。
 ――下まわりはどうなんだい? 舞台裏だけ働いてるような連中……そこが大切だ。
 ――そうだ。それはまた別な賃銀標準ではらわれてるんだ。劇場労働の種類が三つに分類されている。働くものの資格が十級あって、やる労働の種類の基本賃銀に資格を示すパーセントをかけたものだけ貰うんだ。
  職業組合に加盟しているから、不熟練労働者で五十ルーブリ位もらってるものでも、失業保険その他で保護されている。「休みの家」の利用も出来る。若し有料診療を受けなけりゃならない場合は半額だ。おまけに、ソヴェトでは家賃というものが、月給に応じた
前へ 次へ
全55ページ中13ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング