働者。男女にかかわらず彼等のもっている明るさや、ものを考える考えかたの新しい綜合的能力、たとえば芸術と社会との関係なんかについてもはっきりそれがわかるが――それにユーモア、テンポなどは、小劇場の「功績ある芸術家」総出でも表現出来ない空気だ。俳優としてのもちものが気分からしてちがうんだ。一九一九年第一回の芸術労働者大会がひらかれて賃銀標準がきめられた。芸術労働者組合として、産業組合連合へ加盟したのだ。一九二七年に賃銀割出しの方法をいろいろ改正し、それをいま実行している。
歌舞伎の内部のように、だから封建的な秘密給金制は当然ないわけだ。云わば、芸術労働者の俸給も、ソヴェトではパンと同じに国定相場で支払われているわけだ。
――じゃ勿論、最低賃銀というものも、はっきり規定されてるわけだね。悪くないな……それで、大体どの位の収入があるんだ?
――話したね、さっき。――各劇場は、めいめい割りあてられた予算をもっているって。ここでも、その予算が出て来る。ソヴェトの劇場はその予算額に応じて、凡《およ》そ五つのグループに分けられてる。グループ一で、一ヵ月二万ルーブリ以上の予算、労働賃銀支払基金を
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