ころが、ドイツはブルジョアの天下ですからね。あなたの国日本とおなじように、ソヴェト同盟のピオニェールたちが自分の国へ出かけて来て、元気なソヴェト同盟の生活ぶりを話すのを、いやがったんです。入国許可をソヴェト同盟のピオニェールだけによこさないんです。
ソヴェトのピオニェールは一寸はガッカリしたけれど、ナニ糞! と思ってね。ドイツへは行けなくったって、ちゃんと世界ピオニェール大会は記念してやることを考えついたんです」
そして、この野営地にいる五百人のピオニェールたちは、「世界ピオニェール大会」についての集団遊戯を考えだした。
このきれいなひろい池のあっち側はブルジョア国。こっち側は、ソヴェト同盟。まず、広い野営地を、そう二つにわけた。
ブルジョア国では、国境に見張りをおいて、自分の国の中のピオニェールがソヴェト同盟へ行かないように、ソヴェトのピオニェールと連絡をとらないように番をしている。
だが、ソヴェトのピオニェールは、世界の同志となんとかして手を握ろうとするし、ブルジョア国のピオニェールがそれを望んでいることは、もちろんだ。
そこで、夜、見張りの目をかすめ、丘を越し、林をぬ
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